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政治

《罪深きはこの官僚》土井弘次(国土交通省関東地方整備局長)

トンネル陥没事故の「幕引き」画策

2021年4月号

 霞が関や永田町界隈では多くの「御用会議」が開催される。官僚や議員の意向に沿った結論を出すための一種の儀式だが、かなり酷いものもある。
 三月十九日、東京外環道トンネル陥没事故を検証してきた有識者委員会が最終報告を出した。昨年十月、シールド工法を使った工事を行った場所の地盤が沈下し、住宅地で陥没まで発生した事故について、現場の「特殊な地盤条件」(報告書)に加えて、シールド工事の「施工に課題」(同前)があったことが原因であると結論づけた。
 深さ四十メートルよりも下の地中を、地権者の同意なく掘り進めることができるようにした「大深度法」自体には問題がない、と太鼓判を押したようなものだ。
 昨年十二月の中間報告では、シールド工事が陥没の原因であった可能性が高いと認め、報道ではその部分がクローズアップされた。当時の報告書でも地盤の特殊性について言及しているのだが、最終報告ではこちらを前面に押し出してきた。報道でも、地盤について「きわめて特殊」と強調し、まるで不運が重なったことが原因かのような論調になった。
 今回の有識者委は事故を受けてNEXCO東日本が・・・