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政治

「早期解散」への衝動

菅も二階もその気になった

2021年4月号

 三月二十二日午後二時半前のことだ。東京・永田町の自民党本部一階の玄関付近にはただならぬ空気が漂い始めた。多数のSP(警視庁警護課の警察官)が集結、政治記者と思しき集団もホールで待ち構える。正面のエレベーターのドアは開け放たれ、いつでも搭乗できる状態になっていた。そこに特別仕様のトヨタセンチュリーが玄関前に横付けされた。降りてきたのは首相菅義偉。怒ったように眼をぎょろつかせながら足早にエレベーターに向かった。たまたま居合わせた自民党税制調査会小委員長の宮沢洋一と握手をして一言ことばを交わしただけ。菅はそのまま四階の総裁室に入った。
 ところが菅の到着から数分遅れで自民党幹事長二階俊博と側近の幹事長代理林幹雄が党本部に到着した。ふつうは二階が菅を待ち受けるのが筋だが、全くあべこべの動きとなった。二階より先に選対委員長の山口泰明が待機していた。この行き違いからも、菅の面会要請が突然行われたことを裏付けた。この日は緊急事態宣言が解除された初日だったため二階は久しぶりに会合の日程を入れていた。二階はその日程を変更して党本部に戻ってきた。突然の菅の党本部入りの理由について二階周辺は口を・・・