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米政権「アマゾン解体」の現実味

「反トラスト法」の運用が大転換

2021年5月号


 米議会上院の商業・科学・運輸委員会は四月二十一日、コロンビア大学法科大学院准教授リナ・カーン氏を連邦取引委員会(FTC)委員として正式に承認した。カーン氏はグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルのいわゆるGAFA四社などハイテク大手による独占の弊害を指摘してきたことで知られる。そしてカーン氏の主張する「プラットフォームと商取引の分離」は、ネット通販で世界を席巻するアマゾンのビジネスモデルを直撃することにつながる。同氏のFTC委員就任は、バイデン政権によるアマゾン解体が現実味を帯びてきたことを意味する。
 カーン氏は法科大学院を卒業したばかりの若い客員研究員だったころ、論文「アマゾンの反トラスト・パラドックス」を発表し、注目された。その後、二〇一八年にFTC委員ロヒット・チョプラ氏の法務フェローを務め、一九年には論文「プラットフォームと商取引の分離」を発表。二〇年にはコロンビア大学の准教授となり、下院反トラスト小委員会の報告書作成にも携わった。この間、ハイテク大手による独占問題に対する注目は急速に高まり、大統領選の争点にまでなった。
 バイデン政権・・・