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米国で「理由なき殺人」が激増

コロナ禍の病める社会に「銃蔓延」

2021年5月号

 米国で昨年以降、殺人事件が激増している。大半は銃を使ったもので、新型コロナウイルス禍の中で、銃購入が増加したこと、家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)が激増したことなど、様々な原因がある。
 今年に入ってからは、銃乱射による大量殺害が全米各地で発生。大都市圏では、「パンデミックよりも危険」とされる場所も現れた。

世界的にも特異な現象

 米国の警察や犯罪専門家を悩ませるのは、容易に説明できない「理由なき殺人」の増加である。三月下旬に、首都ワシントンで起こった殺人事件はその典型だ。
 大リーグ「ワシントン・ナショナルズ」の本拠地のスタジアム近くで、十五歳と十三歳の少女が、パキスタン人の移民労働者から自動車を奪おうとして、車ではねて殺害した。二人はスタンガンを持っており、警察と州兵が出動する、ちょっとした捕り物となった。
 地元紙記者は、「二人が車を急発進させて、止めようとした男性をはねたようだ。男性の家族は、『なんて意味のない犯罪で、殺されたのか』と悲嘆に暮れていた。そもそも・・・