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中国大使館「対日世論工作」の笑い種

メディア幹部を連日「豪華接待」

2021年5月号

 在日中国大使館の日本マスコミ向け世論工作が活発化している。在京全国紙の論説委員長を招いた孔鉉佑大使の昼食会、北京特派員経験者を集めた公使懇談会やメディアに登場する学識経験者への個別接触も急増している。米中冷戦の激化とともに同盟国である米国に急速に傾く日本を「米中の真ん中近くまで呼び戻そう」(在日中国メディア)という狙い。といっても日本メディアは反中一色で、動かしようもない。中国大使館員にとっては「最大限の努力」を北京の本省や共産党中央に示す生き残りと出世のためのパフォーマンスでしかない。

高級海鮮に茅台酒で「折伏」

 バイデン米大統領との初首脳会談のため、菅義偉首相がワシントンに降り立ってから二時間ほど後の四月十六日午前十一時過ぎ。東京・港区元麻布の中国大使館の正門を黒塗りの高級車やタクシーが次々と通り抜けていった。本館玄関に降り立った面々で一際目を引いたのは、読売新聞グループ本社代表取締役会長で論説委員長を兼ねる老川祥一氏。日頃、中国とはしっかり距離を置く読売のトップが中国大使を訪ねることはほとんどないか・・・