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連載

広告を裏読みする 第29話

「CM炎上」で問われる企業の覚悟

2021年5月号

「広告はれっきとした表現活動であり、リスクを伴う。携わったクリエイターや広告担当者だけではなく、企業の覚悟も問われるもの」
 CM制作畑を歩む、電通関係者はこう語る。今年三月、まったく異なるジャンルの二つのネット広告が「炎上」に見舞われた。いずれも批判だけでなく、少ないながらも擁護があったのだが、結果は似たようなところに落ち着いた。
 一つめは三月中旬、高級ブランド、ヴァレンティノの日本公式サイトで公開された動画。ハイヒールを履いた女性モデルが、庭園内に敷かれた着物の帯のような布の上を歩いていた。同時にサイト上に掲載された写真では、やはり岩の上に置かれた帯とおぼしき布にモデルが座っている。当初は大して話題にも上らなかったこの動画が、三月下旬になってSNS上で転載されて疑問が呈されると、火の手が一気に上がった。
「着物の帯を踏むな」「作った人の気持ちを考えろ」というものから派生して「日本文化を侮辱している」という感情論へと行きつく。「ヴァレンティノによる帯踏み日本ヘイトに抗議します」というハッシュタグまで生まれて、いつのまにかネット上の“愛国者&・・・