三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

新大学評判記 第17話

近畿大学 「志願者数1位」の裏で続く不祥事

2021年5月号

 近畿大学は八年連続で国内人気ナンバー1の大学である―。
 こう聞くと疑問符が浮かぶ読者も多いだろう。大学ランキングは、受験生や学生だけでなく大学側も気にかけているものだ。いわゆる入試難易度を示す偏差値はもちろん、卒業後の就職先や研究内容など、さまざまな序列が発表される。よく引き合いに出される英国のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表する世界ランキングは、教育リソースや成果、国際性などを総合的に評価しているとされ、日本の大学は順位に一喜一憂する。
「人気」というのは曖昧な言葉ではあるが、大学の場合、志願者数という明確な指標がある。そして近大は、二〇一四年に明治大学を抑えて志願者数トップについて以降、その座を守り続けている。今年は、大学入試センター試験が大学入学共通テストに切り替わったため、浪人生が例年より減ったことや、新型コロナの影響で出願先自体を絞る受験生が多く、志願者数自体は昨年より減少した。大学業界全体のこうした傾向がありつつも、近大は今年も一位だったとみられる。近大関係者が語る。
「昨年の延べ志願者は十四万五千人余りで、二位の日本大・・・