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政治

菅「ワクチン失政」の命取り

補選「全敗」国民不満が膨張中

2021年5月号

 結果はプロ野球用語で言えば「3タテ」だった。四月二十五日に投開票された衆参の補欠選挙と参院の再選挙の計三選挙のことだ。自民党は王者の風格の片鱗すら見せられず惨敗した。どの選挙も自民党が大きなハンデを背負っていたことも事実だった。新型コロナウイルス感染症による羽田雄一郎の死去に伴う参院長野選挙区の補欠選挙は幹事長の二階俊博が「あれはよその家の不幸だから手を出せない」と言ったように最初から実弟次郎の勝利は動かなかった。
 問題は衆院北海道二区の補選と、公職選挙法違反(買収)で有罪となった前参院議員河井案里(自民離党)の当選無効を受けた再選挙だ。首相菅義偉の自責点と言っていい。このうち参院広島選挙区の再選挙の原因を作ったのは河井案里。その選挙を先頭に立って支えたのが菅だった。しかし、案里事件が表面化すると菅は「われ関せず」を貫く。貧乏くじを引いたのは昨年の総裁選で菅と争った前政調会長の岸田文雄。再選挙前に自民党広島県連会長に就任した。再選挙惨敗でことしの総裁選出馬にも黄信号が灯った。結果として菅の対抗馬が消えたことを意味する。

鳩山由紀夫と重なる無責任な決断・・・