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イラン「革命防衛隊」に走る亀裂

経済危機で「利権争い」が深刻に

2021年6月号

 六月十八日に行われるイラン大統領選を前に、イラン体制を支える「イスラム革命防衛隊(IRG)」に深刻な亀裂が生じている。
 モハンマド・ザリフ外相が、革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率いていたカセム・ソレイマニ司令官(昨年死亡)を批判したり、有力候補の一人サイード・モハンマド元准将が防衛隊の別の幹部と非難合戦を展開したりと、「一枚岩」のはずのイラン体制に、大きなほころびが現れている。
 今年四月から五月にかけ、イランのメディアには「社会の危機」「貧困ライン以下の暮らし」「購買力激減」といった言葉があふれた。検閲の厳しい国なのに、昨今の困窮ぶりは隠しようがない。
 四月に発表された経済統計では、過去一年間のインフレ率は約四〇%に達した。ほとんど賃金が上がらない中で、物価は毎月、二~三%というハイペースで上昇する。
 イラン駐在経験のある大手紙記者は、「中産階級が崩壊している状態だ。首都テヘランでは、毎月の賃金は十日ほどで使い切ってしまうと聞く。イラン政府は、『米国の経済制裁のせいだ』とするが、長年の失政のツケが新型コロナウイルス感染拡大で、一気に表・・・