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政治

菅「続投」の裏の抗争

安倍と二階の「最終戦」

2021年6月号

 首相菅義偉の官邸の執務室にA3サイズの分厚い資料が置かれている。そこには全国一千七百四十一市区町村別の新型コロナウイルスワクチンの配給量と、接種見通しを示す数字が克明に書き込まれており、菅が繰り返し指示を飛ばしている目標達成のために使う。
「七月末までに高齢者三千六百万人の接種完了」
 一覧表では離島や人口の少ない村では対象者全員が接種を終えたところもあるが、それはほんの例外に過ぎない。菅はその一つひとつの自治体に対してなぜ遅れているのかの理由も報告させている。これが「菅の流儀」だ。
 五月十二日時点で厚生労働省がまとめた接種見通しで、目標達成が完了する見込みとしたのは全体の八六%にとどまった。この数字を見た菅は記者団にコメントした。
「私も実は報告を受けてショックだった。そうした実情を地元の衆院議員に話した。ぜひ協力してほしい。そう申し上げた」
 菅はあえて「ショック」という言葉によって自治体を督促した。文字通り自治体に向けて発した“ショック療法”。面従腹背であったとしても外見上は菅発言の効果は絶大だった。九・・・