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中国が南シナ海で狙う新「人工島」

アジア安保体制「激変」の危うさ

2021年7月号


 中国軍が南シナ海の実効支配の強化を目指し、要衝スカボロー礁(中国名・黄岩島)の人工島造成開始のタイミングを虎視眈々と狙い出した。すでにスプラトリー(南沙)諸島のファイアリークロス(永暑)礁には三千メートル級の滑走路をはじめ軍事施設が完成し、軍用機や艦艇が展開している。
 これにパラセル(西沙)諸島の軍事基地ウッディー(永興)島とを結ぶ南シナ海の“戦略的トライアングル”が出来上がれば、防空識別圏(ADIZ)の設置を宣言して、同海域の実効支配は一段と強化される。目下、習近平政権のこの野望を阻止できるのは米国だけであり、バイデン政権の動向がカギを握っている。
 米海軍アカデミーのネットに六月十日、ファイアリークロス礁の滑走路の脇に中国空軍の早期警戒管制機「空警(KJ)-500」が駐機している様子が胴体上の円形レーダーアレイとともに捉えられ、近くに駐機している対潜哨戒機「運(Y)-8Q」と一緒の衛星写真がアップされた。同時に近海を遊弋する「815G型情報収集艦」の船影も確認されており、米潜水艦を標的に仕立てた中国軍の演習が行われた模様だ・・・