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WORLD

「世界の工場」中国の凋落

製造業「シェア急降下」の深刻度

2021年7月号

 英国、ドイツ、米国、日本などかつて世界の製造業の頂点に立ち、世界の隅々まで自国製品をあふれさせた「世界の工場」国家の最盛期は三十年から半世紀だった。一九九〇年代末にその座に就いた中国も今、最盛期を終えつつある。ただ、中国の場合は競争力低下よりも、自らの覇権主義が引き起こした米中冷戦が工場流出の引き金を引いた。スマホ、パソコンから家電、衣料品、日用雑貨まで「メイド・イン・チャイナ」の“商品タグ”を外すため、工場が台湾や東南アジア、インドを目指し、一部は先進国に回帰する。中国が直面するのは雇用喪失、賃金低下など日本が経験した空洞化の悲劇である。
 小米、OPPO、vivoなど中国の大手スマホメーカー幹部が最近になってささやき始めたのは中国のスマホ生産の世界シェアが「今年、六〇%を割り込む」という予測だ。米アップル、韓国サムスン電子のスマホ二強に加え、ファーウェイなど中国メーカーを含め、中国は世界のスマホ生産で圧倒的な地位を築いた。二〇一七年の生産シェアは七四%に達した。
 だが、中国政府の執拗な韓国バッシングをきっかけに、昨年までにサムスンは天・・・