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経済

《企業研究》エーザイ

認知症新薬の秘された「悪夢」

2021年7月号

 人類待望の新薬―。その有効性と安全性が確かであるならば、積年の夢が叶った瞬間といえよう。
 六月七日、米食品医薬品局(FDA)は、米バイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー病治療薬アデュカヌマブ(一般名、製品名:アデュヘルム)を承認した。毎月一回、点滴で投与する抗体治療薬だ。二〇〇三年以来、十八年ぶりのアルツハイマー病に対する新薬で、「アルツハイマー病治療薬をFDA承認 専門家“認知症根本治療へ第一歩 大きな判断”」(NHK、六月八日)など、日本のメディアは好意的に報じている。
 高齢化が進む先進国で、アルツハイマー病対策は喫緊の課題だ。厚生労働省によれば、日本には約六百万人の六十五歳以上の認知症患者がいて、そのうち七割はアルツハイマー病だ。近年、患者数は急増している。米国も同様だ。患者数は約六百万人で、米国で六番目に多い死因だ。アデュカヌマブの開発は、アルツハイマー病に苦しむ世界中の患者や家族にとって大きな福音となるかもしれない。
 このニュースを受けて、エーザイ株は急騰した。アデュカヌマブが莫大な利益をエーザイ・・・