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経済

東急不動産「疑惑」の再開発事業

自治体巻き込む補助金「詐取」の指摘

2021年8月号

 住友不動産に次ぐ業界五位の東急不動産ホールディングス(HD)の昨年度の業績は、新型コロナの影響もあり減収減益となった。
 東急不動産HDは東急の子会社ではなく、持分法適用会社に過ぎない。渋谷や東急線沿線の不動産開発などの多くは東急本体の事業であるため、東急不動産は他のエリアでも稼ぐ必要がある。そんな同社が、埼玉県内で分譲した物件で「疑惑」が浮上している。
 JR蓮田駅は知名度こそ低いが、湘南新宿ラインで新宿駅まで最短四十一分と、ベッドタウンとしては抜群のアクセスを誇る。その駅前のロータリーに接するマンションが問題の物件だ。
 駅徒歩一分の新築物件が人気を呼ばない訳がなく、実際、二〇二〇年十月に竣工した「ブランズシティ蓮田」(地上十四階建て、百六十八戸)は即完売し、売主の東急不動産は笑いが止まらなかった。
 ところが蓮田市の駅西口再開発と銘打って公金が投入されたこの事業は、同社が濡れ手で粟の大儲けをしただけでは終わらなかった。目玉のひとつだった診療所予定フロアが、何故か学習塾運営法人に売却されるという不可解な事態が起きたのだ。
 都市再・・・