三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

孤独な菅の「断末魔」

総裁選で誰も支えない状況に

2021年8月号

 首相菅義偉の昼食は麺類と決まっている。外出が制限され、官邸で始まった閣僚や与党幹部との昼食会談でもメニューに例外はなく麺類だ。東京五輪の開会式が二日後に迫った七月二十一日の昼食相手は自民党国対委員長の森山裕。この時も肉うどんが供された。ただし、この森山との会食はこれまでにはないことがあった。会食相手が森山一人だったことだ。
 菅は森山を深く信頼しており、日に一度は携帯電話を使って連絡を取り合う。しかし、個別に会うことはほとんどない。いつもは自民党幹事長二階俊博か二階側近の幹事長代理林幹雄と連れ立って会うのがパターン化していた。それだけに森山との単独面会は自民党内に疑心暗鬼を生んだ。
「幹事長に知られたくないことがあった可能性がある」(二階側近)
 確かに変幻自在の「二階マジック」は予測不能だ。菅の目にはそんな二階は支援者であると同時に不安を駆り立てる存在でもある。七月四日の東京都議会議員選挙で自民党が事実上の大敗を喫した直後、二階は菅にとって「不安の塊」とも言えるボールを投げ込んだ。七月八日のTBS・CS番組の収録。二階は九月末の任期満了に伴う自民党総裁・・・