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社会・文化

最悪の変異「ワクチン抵抗株」の襲来

五輪契機に「日本型」の出現も

2021年8月号

「世界の公衆衛生の歴史上、最大の人体実験」(医学部教授)
 東京五輪は、そう呼ばれても誇張とはいえない状況が続く。米『ワシントン・ポスト』をして「完全な失敗に見える」(七月十七日付)と断じられる平和の祭典だが、「本当の失敗」はむしろこれからだ。
 五輪での入国者で感染発覚が相次いだが、注目すべきは選手や関係者の多くがワクチンを打っていることだ。それでも感染したという事実は、彼らが持ち込むウイルスがワクチンによる免疫を回避していることを意味する。ワクチン接種(二回目)を完了した国民が全体の二割台の日本で、「ワクチン抵抗株」の流入は由々しき事態だ。

ワクチンの効果が五分の一に

「Our World in Data」によれば、七月前半に我が国でシークエンスされた新型コロナウイルスはデルタ株(インド株)が六四%、アルファ株(英国株)が二九%だ。世界保健機関(WHO)は、「懸念される変異株(VOC)」として四つの変異株を挙げているが、ベータ株(南アフリカ株)やガンマ株(ブラジル株)は、日本では流行し・・・