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マスコミ 業界 ばなし

2021年8月号

 東京五輪の民放キー局のCMは「百九十億円を売り上げた」(電通関係者)。最低ラインは百六十億円だったとされ、「腐っても電通だ」(民放キー局幹部)との声も聞かれる。しかしながら各局の収支は、それぞれ二十億円超の赤字が予想されている。一局ごとの内訳は、CM収入が約四十億円。支出は、制作費、放送権料、地方局への配分電波料で「合計六十億円程度。このうち、放送権料が約三十億円で半分を占める」(業界関係者)という。高騰する放送権料に対しては、当初、日本民間放送連盟内にも異議があったというが、五輪は放送する責務があるとの慣習を優先した。かつてのテレビ局ならばまだしも、各局とも、制作費を大幅にカットする厳しい状況の中で、「五輪中継を止められるなら止めたい」(別の民放キー局幹部)のが本音だ。
 頭が痛いのは、今年度は東京五輪に加えて、冬季の北京五輪もあること。夏季大会よりも規模は小さいが、同じ年度で二回の五輪赤字が計上されることになる。「五輪中継が、決算に悪影響を与えることは間違いない」(業界アナリスト)。すでに、民放連とNHKとで構成するジャパンコンソーシアムは、二〇二六〜三二年までの夏・冬・・・