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バイデンが対中「弱腰」に変節

早くも「宥和政策」に同盟国の不信

2021年10月号

 ジョー・バイデン米大統領が、就任早々に打ち出した「中国主敵」論を大幅に変えて、対決姿勢を和らげる方針に転換した。
 主戦場になるインド太平洋地域で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々に慎重姿勢が根深いことに加え、アフガニスタンからの米軍撤退が内外で批判されたことで、外交の軌道修正を迫られた。
 歴代の民主党政権は、高邁な理想主義的外交を打ち上げながら、世界の現実に圧倒される繰り返しだった。いささか早すぎるように見える「弱腰」は、残る三年余りの任期中も続くのだろうか。

米中首脳「国連演説」の舞台裏

 二人の主役は、まるで申し合わせたような演説を行った。
 九月二十一日(米東部時間)、国連第七十六回総会の一般討論演説で、バイデン大統領と中国の習近平国家主席は、互いへの非難を控え、「人類運命共同体」(習主席)のために尽力すると、それぞれの言葉で語った。バイデン大統領は一度も「中国」を名指しせず、習主席も「米」の名指し批判はしなかった。
 ほんの少し前には、アントニオ・グ・・・

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