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在韓米軍「縮小・再編」の予兆

「台湾有事」に備える戦略転換

2021年10月号

 
 
 朝鮮半島が再び、きな臭くなってきた。北朝鮮が九月十一、十二の両日に新型の長距離巡航ミサイルを発射。十五日にはロシアのイスカンデルに似た短距離弾道ミサイルKN23を日本の排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込んだ。韓国も同じ十五日、潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功した。SLBMを実戦配備しているのは、米ロ中英仏印の六カ国で、南北が七カ国目を争う格好になった。
 こうした状況のなか、韓国が頼りにする在韓米軍を巡る新しい動きが浮上した。米下院軍事委員会が八月末に公開した二〇二二会計年度(二二年九月から適用)の国防授権法(NDAA)案から、在韓米軍の縮小を制限する条項が四年ぶりに削除されたからだ。これまでは三年連続で現在の兵力数である二万八千五百人を明記したうえで、削減する場合には「韓国などとの協議」「朝鮮半島の安全保障環境の安定」など様々な条件をつけていた。
 国防授権法は、日本の「防衛計画の大綱」や中期防衛力整備計画のような性格を持ち、米国の国防予算の基礎になる。このため、韓国では早速、「在韓米軍削減か」・・・