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連載

をんな千一夜 第54話

早逝の皇女の懊悩
石井 妙子

2021年10月号

《照宮 成子》

 秋篠宮家のご長女眞子内親王の結婚に対する世間のバッシングがやまない。
 天皇家の名誉を失墜させると言って意気揚々と批判する人々が、果たして日頃、どれだけ天皇や皇族を敬っているのだろう。噂話の対象として、自分たちの日頃のウサを晴らそうとしているというのが本音ではないか。それこそ不敬であろう。
 コロナが日本社会の実情を炙り出したように、今回の結婚をめぐる騒動は図らずも明治維新や敗戦によって生み出された〝天皇制〟の矛盾や問題を露呈させた。結婚相手を叩いて済むことでは、もはやなくなっている。
 女性天皇の是非を問う議論が再燃し、「男系で継ぐべき」と主張する人々は男系子孫の皇族復帰を叫んでいるが、そうした中で候補者として度々、取り沙汰されるのが天皇家の血が最も濃いといわれる東久邇宮家の男性子孫の方々である。
 崇光天皇の皇子から伏見宮家が誕生し、そこから久邇宮家が、さらに東久邇宮家が興された。明治天皇、昭和天皇の皇女が嫁いだ先の宮家でもある。
 昭和天皇の第一子である照宮・・・