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バイデンに早すぎる「政権危機」

バラマキ法案で支持率「急降下」

2021年11月号

 米国のジョー・バイデン大統領が、政権発足からわずか九カ月で大きなピンチを迎えた。政権の看板政策である、二つの大型投資法案が、民主党内の進歩派と穏健派の対立で暗礁に乗り上げている。夏休み前にも国民に届くはずだった巨額の大盤振る舞いは、冬休み前も怪しくなっている。
 あまりのもたつきぶりに、一時は六割近かった大統領の支持率は、三七%前後まで急降下した。民主党政権は、三年後の次期大統領選はおろか、来年の中間選挙への道筋も描けなくなってしまった。
 最初に「バイデン計画」を整理しよう。計画は、①「米国救済計画法」(一・九兆ドル)、②「インフラ投資及び雇用法案」(一兆ドル)、③名前の定まらない第三の投資法案(最大三・五兆ドル)の三つからなる。最初の救済計画法は、超党派の賛成で三月に成立した。
 バイデン大統領はこの直後に、②と③を「セットの法案」として提案し、共和党を戸惑わせた。②は、古くなった全米の交通インフラなどを造り替えて、デジタル・インフラを新たに整備する、という内容だ。「中国に対抗する」という謳い文句もあって、共和党は原則的に賛成した。
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