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ロシア国境地帯の激しい「人口減少」

領土維持が困難な状況に

2021年11月号

 ロシア全土で、国境地帯の人口減少や衰退が進んでいる。新型コロナウイルス感染対策により、越境往来が難しくなったため、越境貿易で潤っていた地域が大打撃を受けた。カフカス地方では、ロシア民族の減少が顕著で、「ロシア民族ゼロ」地帯が拡大している。
 ウラジーミル・プーチン大統領の後継をうかがう、セルゲイ・ショイグ国防相は最近、「シベリアに三~五の新都市を建設する」との構想を打ち出し、シベリア・極東の国家主導での振興を訴えた。今やロシアの国境は、どこもボロボロで穴だらけである。
 ショイグ国防相はシベリアのトゥバ自治州生まれ。土木工学で学位を取り、現場監督や土木行政の仕事をしていた。ソ連崩壊の直前にモスクワに呼ばれ、自然災害や大規模人災が起きた際に人命救助を行う「非常事態委員会」の長に任命された。ソ連崩壊後は、ロシアの非常事態相になった。
 大臣と言っても、災害救援部隊の元締めだ。ただ、ロシアにはあまりにも災害・人災が多く、その都度ショイグ氏が現場に飛んでいくので、国民の間では抜群の知名度を誇った。二〇一二年から国防相の座にあり、最近はそれらしい風格を漂わせている・・・