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経済

中堅製薬会社もばら撒く「マネー」

「買収まがい」の医師との関係

2021年11月号

 日本製薬工業協会(製薬協)が「C項目」と呼ぶカネがある。講演料、原稿料などとして製薬会社が医師個人に提供する資金だ。二〇一九年度、製薬協に加盟する内資系製薬企業五十四社がC項目として医師に支払ったカネの総額は百七十一億三千七百五十二万円に上る。大手もさることながら中堅にも支払い額を急増させている企業がある。そこには「医師買収」ともとれる資金をばら撒かざるを得ない事情がある。
 五十四社の支払ったC項目のうち、トップ十社(武田薬品工業、大塚HD、アステラス製薬、第一三共、エーザイ、中外製薬、大日本住友製薬、田辺三菱製薬、塩野義製薬、協和キリン)が百六億三千五百五十万円(六二%)。それ以外が六十五億二百一万円(三八%)を占める。
 データを入手できた一六年度と一九年度を比較すると、一九年度にC項目は全社で三・一%増加。トップ十社の増加率が五・九%。中堅企業四十四社は一・二%減だが、うち十四社は増やしている。
 中堅企業のうち提供額の急増が際立っているのが大正製薬、テルモ、科研製薬の三社だ。

専門医への高額の謝金・・・