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連載

新大学評判記 第23話

中央大学法学部 「法科の名門」の落日

2021年11月号

 中央大学が看板学部である法学部を二〇二三年四月に多摩キャンパスから都心の文京区茗荷谷の新キャンパスに移転する。今なお法曹界を目指す学生にとって中大法学部は強いブランドだが、私大文系の偏差値トップになった慶應義塾大学法学部や地方国立大の司法試験合格者増によって、かつての輝きが薄れたのも事実だ。公務員就職実績では底堅く強みを発揮しているが、大手企業向けの就職では、早慶上智はもちろん明治大にも差を広げられている。長期的な衰退傾向を「地の利のなさ」と分析し、都心回帰で名門が復活すると考えているとすれば誤算に終わるのは間違いないだろう。
 〇四年に創設された法科大学院制度によって、司法試験受験は様変わりした。かつては法学部の在学生、卒業生が民間の司法試験予備校に通い、艱難辛苦を乗り越え合格を果たす、というシステムだったが、学部卒業後、法科大学院で三年間(既習者は二年間)学んだ後、司法試験の受験資格を得る形となった。
 企業や国際渉外などの分野での法曹需要拡大に備え、合格者を増やす目的で、〇四年には六十八校、延べ定員五千五百九十人もの法科大学院が設立された。だが、思ったほどの・・・