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中国「恒大危機」の先行き

世界を揺るがす「破綻」の衝撃

2021年11月号

 中国の不動産大手、恒大集団の経営危機が中国だけでなく世界経済を動揺させている。巨額債務が返済不能となれば、不動産業界から金融機関に連鎖、中国で資金を運用する海外投資家にもリスクが及ぶからだ。半面、米欧日の金融界にはどこか楽観の空気も漂う。中国政府はこれまでも「バブルの部分崩壊」や「取り付け騒ぎ」を巧みに乗り切ってきたからだ。だが、今回は「共同富裕」の旗印のもと中国経済の刷新を図る習近平改革のなかでの危機。習政権は恒大をはじめバブルの原因企業を容赦なく破綻に追い込み、不動産バブルが牽引する成長モデルを強制終了させる。恒大危機の結末は思いもよらない衝撃を世界に与えるかもしれない。

「土地本位制市場経済」が終息へ

「恒大集団の危機は、一九九二年以降の高度成長三十年の総決算となるだろう」。市場経済の旗振り役のひとりでもあった中国の老経済学者はこう語る。九二年は言うまでもなく、「社会主義市場経済」が宣言された年であり、鄧小平氏が八九年の天安門事件で勢いの削がれていた「改革開放」政策に“再点火”・・・

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