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経済

サイバー「情報大漏洩」の日本 【 前編 】

官民学でセキュリティ「総崩れ」

2021年11月号

 日本に対するサイバー攻撃がますます深刻になっている。
 十月十九日、オリンパスは米国法人へのサイバー攻撃によって、内部情報が流出した可能性があると発表した。同社は九月にも、欧州や中東などで不正アクセスを受けてシステムが一時停止に追い込まれている。
 流出した情報は地下サイトなどで売買され、さらなるサイバー攻撃の入り口として使われる。技術関連の情報であれば国外のライバル企業に流れていく可能性もある。
 もはや言うまでもないが、このケースは氷山の一角に過ぎない。日本を代表する大手企業がここ数年に受けたサイバー攻撃被害を見るとそれは歴然だ。
 五月には官公庁や民間企業に広く導入されている富士通の情報共有ソフトがサイバー攻撃を受け、内閣官房を含む省庁の職員のメールやシステム機器に関する情報が漏洩している。
 防衛関連技術なども扱っている三菱電機は、二〇二〇年初頭以降サイバー攻撃によって重大な情報が何度も流出している。
 同じく防衛事業も手がけるNECは、防衛事業部門のサーバーが数年前から不正アクセスされていたことが二〇年一月に表面化・・・