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ロシアの対日 「強硬路線」が加速

岸田「曖昧外交」の危うさ

2021年12月号

 岸田政権の発足により、ロシアが対日政策で「強硬路線」を一段と強めそうだ。北方領土問題でロシアのプーチン大統領に手玉に取られ、「負の遺産」を残した安倍政権と異なり、菅・岸田両政権は「それほど対露外交に関心はない」(外交筋)とされる。「安倍ロス」に悩むロシアは、日本を揺さぶり、再び経済面で譲歩を引き出したいところ。ロシアの強硬路線は、中国と北朝鮮に続き、岸田政権の外交・安全保障政策上、厄介な負担となりそうだ。

日本の「スパイ行為」を喧伝

「完全にロシアの嫌がらせ。日本がロシアでスパイ行為をしているような悪印象を植え付ける狙い」
 ロシアメディアが十一月十一日に報じた記事を見たロシア研究者は、こう分析する。記事は、モスクワの日本大使館駐在武官が二〇一二年から一八年にかけて、同国の新聞コメルサント紙の元軍事担当記者であるイワン・サフロノフ氏と接触していたことを「情報機関が把握している」と伝えた。サフロノフ氏は一七年、北大西洋条約機構(NATO)に加盟するチェコの情報機関に軍事情報を渡した疑いがあるとして、・・・

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