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中国「北京五輪外交」の窮状

西側ボイコットの打開策は「金正恩」

2021年12月号

 米国のバイデン大統領は十一月十八日、ホワイトハウスで記者団から来年二月に行われる北京冬季五輪の外交ボイコットについて「検討している」と答えた。ペロシ米下院議長が今年五月、中国の人権問題を取り上げ、各国に選手団以外の首脳や政府関係者の参加を控えるよう呼びかけていたが、バイデン氏がボイコットの可能性に言及したのは初めてだ。
 さらに十一月、中国の著名テニス選手、彭帥さんが張高麗・前副首相からの性的暴行被害を訴えた後に一時消息不明になる事件が発生。同選手との電話で安全を確認したとした国際オリンピック委員会(IOC)にも批判が集まり、北京五輪ボイコットの動きが更に広がりそうな雰囲気だ。
 この事態に中国も頭を抱えている。習近平氏は、来年秋に開かれる中国共産党大会で、「二期十年」の慣例を破って、党総書記の続投と更なる独裁体制の強化を目指している。十一月十一日に採択した第十九期中央委員会第六回総会(六中総会)の「歴史決議」は、習氏を礼賛する文句で埋め尽くされた。本来、北京五輪は、習近平体制の権威を高める絶好の機会になるはずだった。
 というよりも、中国は北京五輪で反・・・