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経済

食料インフレは 「史上最悪」の様相

来年は世界各地が「政情不安」に 

2021年12月号

「パンからガソリンまであらゆるモノが高くなっている」。米バイデン大統領は十一月十日、ボルチモア港でのスピーチで、「一時的とはいえないインフレ」を渋々認めた。十月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比六・二%上昇し、三十年ぶりの水準となった。
 米国をはじめ世界的に高進するインフレ。特に食料価格の高騰は、世界各地で政変が起こりかねないレベルにまで達している。
 米国のインフレ率は先進国のなかで特に高い。中古車や木材などから始まり、エネルギー、新車、家賃に拡大。十月のCPIは肉類を中心に食品の上昇が牽引した。
 米農業連合会(AFBF)が毎年発表する感謝祭(十一月下旬)のディナーに必要なコストは、五三・三一ドルと前年から一四%も上昇した。七面鳥は二四%上昇している。消費者マインドを示すミシガン大学消費者信頼感指数(十一月)は六六・八ポイントと十年ぶりの低水準となった。
 アトランタ連銀が発表する非公式のリアルタイムのGDP推定値「GDPナウ(第3四末期)」の値が十月には、一時「〇・二%」にまで極度に低下する場面もあった。

「アラブの春」の年のレベル・・・