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経済

環境後進企業「トヨタ」の恥辱

「反EV路線」を世界が白眼視

2021年12月号

 レーシングスーツを身にまとったトヨタ自動車の豊田章男社長は終始上機嫌だった。十一月十三日、かつてF1グランプリが開催された岡山国際サーキットで、マツダの丸本明社長やSUBARUの中村知美社長らを従え、「内燃機関が生き残り、かつ発展する方法がある」と持論をぶち上げた。脱炭素社会で内燃機関エンジンを延命させるための取り組みに、この三社のほかヤマハ発動機と川崎重工業の二輪車メーカー二社が加わると発表した。  
 章男社長がサーキットで水素エンジン車を運転。マツダはミドリムシの油脂と廃食油が原料のバイオ燃料で走るディーゼル車でレースに参加した。SUBARUはトヨタと共同開発するバイオマス由来の合成燃料で走行するエンジン車で来季の耐久レースに参戦する。
 同日に英国で開かれていた第二十六回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が閉幕。「この日に内燃機関のアピールをする必要があったのか? COP26では日本車メーカーが電気自動車(EV)への完全移行に難色を示し、CO2対策に消極的と批判された。これ以上、悪目立ちをすべきではない」(国産車メーカー関係者)と疑問の声もあがる・・・