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「隠れ極右」マクロンの必勝戦術

左派「惨敗」で歪むフランス

2022年2月号

 フランスの大統領選の第一回投票が四月十日(決選投票は四月二十四日)に迫った。目下の世論調査では、現職のエマニュエル・マクロン大統領に対して、右派「共和党」公認のヴァレリー・ペクレス候補と、極右「国民連合」のマリーヌ・ルペン党首、やはり極右のエリック・ゼムール候補の三人が挑む展開だ。  
 左右の政権交代が行われていた国で、有力挑戦者はいずれも右派か極右、しかも現職は「隠れ極右」という構図で、左派には全くチャンスがない。西欧の代表的な民主主義国に、何が起こっているのだろうか。
 昨年十二月四日は、右派・共和党大統領候補の第一回投票の結果が発表される日だった。この日はまた、フランス東部ストラスブールにある欧州議会で、一昨年十二月に死去したバレリー・ジスカールデスタン元大統領を追悼する会が行われた。共和党の最後の大統領だったニコラ・サルコジ氏は、パリで投票結果を見ることなく、マクロン大統領の隣で大先輩の霊をしのんだ。  
 フランス中のメディアが集まる中、マクロン、サルコジ両氏は見るからに緊密なのに、もう一人の大統領経験者、フランソワ・オランド氏は蚊帳の外にい・・・