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南シナ海「対中新連合」の胎動

割れるASEANは大荒れ模様

2022年2月号

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟十カ国の中で、南シナ海で中国と争う六カ国が、中国のごり押しに対処するため、合同で防衛策を探ることになった。
 インドネシアが主導しているもので、海上警備や海運の当局者などを集め、二月にも初会合を開く。ASEANは、中国の力づくでの海洋進出に全く対抗できなかっただけに、六カ国の反乱の行方が注目される。呼びかけ人となるインドネシアは、日本と米国の協力も強く期待している。
 インドネシアを怒らせたのは昨年九月、カリマンタン島沖の北ナトゥナ海に、中国の調査船「海洋地質10号」と、中国海軍の複数の艦船が入ってきた事件だ。調査船は海底の天然ガス資源を探査するもので、艦船群(確認されたのは六隻)はその護衛が目的だった。近くには、米艦船も中国船団の監視目的で出動していた。
 インドネシア海軍のアルシャド・アブドゥラ西部艦隊司令官は、報道陣に対して「北ナトゥナ海への侵犯は、断固として許さない。国内法と国際法にのっとり、国益を守るのが海軍の任務だ」と、強い言葉で中国の動きを非難した。

二千キロ離れた海底資源も狙う・・・