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経済

ぶったるんでる「金融庁」  

銀行の無法放置と「天下り三昧」

2022年2月号

 金融行政への信任が大きくぐらついている。近年、金融庁を巡っては、「首を傾げたくなる」(有力地銀トップ)出来事が起き続けている。
 金融庁は昨年十一月二十六日、二月以降にシステム障害を連発させたみずほフィナンシャルグループ(FG)とみずほ銀行に行政処分を下し、取締役会の機能不全をかつてないほどに厳しく弾劾、経営責任の明確化を迫った。しかし、行政処分で指定された報告命令の期限である今年一月十七日にみずほFGが発表した経営責任の明確化は「予想外に緩い」(メガバンク関係者)という印象を銀行業界に与えるものだった。
 坂井辰史社長は辞任するとはいえ、その腹心中の腹心といえる今井誠司・取締役副社長は取締役会長となり、坂井体制を支え続けた多くの幹部たちが上層部に居残る。当然ながら、そのような体制を発表できたのは、金融庁が承諾したからにほかならない。
 ある金融庁関係者はこう語る。「昨年末まで幹部たちはみずほに厳しく接していて、今井氏を後継社長に据えようとしていた坂井氏に対して、『なぜ、経営責任を問われている人が人事を決めるのか』と突き放したほどだった」。
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