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連載

広告を裏読みする 第38話

農水省「大型企画広告」の舞台裏

2022年2月号

 新聞広告は、新型コロナ感染拡大の影響で売り上げが減少したまま、以前の水準に戻っていない。テレビCMが昨年前半には回復していたのとは対照的である。
 それでも、新聞だからこそできる広告というものも、まだある。昨秋、日本経済新聞社が主催する日経広告賞大賞を受賞したのは殺虫剤メーカー、大日本除虫菊の全面広告だった。「いま、いいよね。一方通行の新聞広告」というコピーで、時代遅れとなった新聞広告を逆手にとった内容がウケた。
「政府広報」という名目での広告も、旧媒体とは相性がよい。この種の出稿はこの二年間、新型コロナに関連するものが大半を占めてきた。特にテレビCMでは、行動制限やワクチン接種に関するものが今も放送されている。
 新聞に目を移すと、政府広報枠の広告は「突き出し」と呼ばれる一面の片隅に掲載される小型のものが大半である。ただ、国による広告は政府広報の予算だけでなく、各省庁が独自に出すケースもある。最近では、総務省が中心となって、マイナンバーカードの取得を促すキャンペーンが行われ、新聞各紙に広告が掲載されてきた。
 そんな中、一月十日付の日経に農林・・・