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西風 489

生まれ変わる三宮「センター街」

2022年2月号

 一月十七日、今年も阪神・淡路大震災の追悼行事が兵庫県内各地で行われた。昨年に引き続き、新型コロナの感染対策が徹底される中、多くの人が犠牲者を悼んだ。神戸市中央区の東遊園地では、灯篭で「忘」の文字が浮かびあがった。「忘れない、忘れたい、忘れないで……」。さまざまな思いが込められた文字だ。
 二十七年が経過して震災の記憶も薄くなり、街は徐々に生まれ変わって行く。そうした中、地元紙神戸新聞は一月に、三宮センター街の再整備計画について報じた。センター街と言えば全国的に見れば渋谷が有名だろう。しかし関西人、特に神戸っ子にとってはやはり三宮がまさに「中心」だ。
 阪急電鉄、阪神電鉄、JR西日本に加え、神戸市交通局や新交通システムなどが乗り入れる一大ターミナル駅の目の前に広がる商業エリア。商店街に加盟するのは二百店舗ほどだが、一帯には二千店とも言われる大小の店がひしめく。ファッション関係の店が多いことから若者が集まる街になっている。
 震災ではアーケードが損傷するなどの被害を受け、多くの建物も損壊してしまった。
 その中心部に、約・・・