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WORLD

「極右」に覆われる世界

米欧中露に蔓延する「過激思想」

2024年4月号特別リポート

「一つの妖怪が世界中を歩き回っている―極右という妖怪が」
 十九世紀の思想家カール・マルクスの言葉を借りれば、二十一世紀の二〇二○年代はこう要約されるだろう。極右が世界中で拡散し、拡大し、猛威を振るっている。
 極右勢力は、米国や欧州のような成熟した民主主義圏で勢力を伸ばすばかりではない。かつては「共産主義」国だったロシアや、今も「共産主義」を国是とする中国でも、政府と支配階級が「国家統治のイデオロギー」として、民族と祖国を前面に押し出している。
 今年の米大統領選では、民主的手続きを一切考慮しない、ドナルド・トランプ前大統領が返り咲くとの見通しが強まっている。世界中に蔓延する、不愉快で身勝手な政治勢力にどう対処していくことができるだろうか。

米国の半分は「トランプ主義」に

 米国の政治研究者、メディア関係者の間で最近、再燃している議論がある。「トランプをファシストと呼ぶべきか否か」である。トランプ氏自身の一連の発言は、人々を不安にさせるに十分だ。以下はいずれも昨年、遊説などで語・・・

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