三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

住友商事「トップ人事」が示す病理

同期三人「友達経営」が残す禍根

2024年4月号

 組織の三菱、人の三井に対し、「結束の住友」と言われる。果たして新体制は同期入社三人の結束なのか―。
「社長が何を考えているのか分からない」
 住友商事にはこの3カ月余り、沈鬱な空気が漂っていた。昨年12月22日、社長の兵頭誠之が自らは会長に就き、後継に同期、同い歳の副社長・上野真吾を指名する異例の人事を発表したからだ。社員は一様に驚き、人事の滞留に不安の声が上がった。が、兵頭は「年齢より知見と判断力が重要」と語り、社長候補の常務三人の実力不足を匂わせたのである。
 上野は当惑気味だったが、もっとも、次期社長に対する社内の信頼は厚い。「64歳の上野さんは2、3年務めて、おそらく世代交代を進めるだろう」と解釈されていた。ところが、年が明けて1月25日、役員人事をみた社員の不安は悲憤に変わった。
 4月1日付で新設する副会長に、同じく同期の顧問・南部智一(元副社長)が復帰し、6月の株主総会で取締役にも返り咲くという。つまり会長、副会長、社長のスリートップを同期で独占するのだ。一方、部門長級の執行役員6人は退任が決まった。複数の幹部の怒りは激しかった。・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます