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経済

あおぞらとSBI新生「統合」の成否

北尾の背を押す村上世彰の「魂胆」

2024年4月号

「もうSBI新生銀行と一緒になるしかない」
 二月中旬、シンガポール在住のアクティビスト、村上世彰氏はWEB会議で吠えた。画面の向こうにいたのは、あおぞら銀行の谷川啓社長兼CEO(最高経営責任者=当時)だ。
「当行には独自のビジネスモデルがありますから」と必死に抵抗する谷川社長。「だったら単独で企業価値を上げられるのか」となおも声高に迫る村上氏。抗弁する谷川社長の声は、あおぞら銀関係者によると「小さくなる一方だった」という。
 無理もない。あおぞら銀は二月一日、二〇二四年三月期の業積が二百八十億円の最終赤字になる見通しだと発表した。赤字になるのはリーマン・ショック以来、十五年ぶりとなる。拡大してきた米国の商業用不動産向け融資で損失引当金を積む羽目に陥ったからだ。そして下期の無配転落。経営手腕のなさを叱責する村上氏に対し、谷川社長らは抗弁しようがない状況に陥っていた。
 この時点で、村上氏らがあおぞら銀株を保有していることは、まだ世の中には明らかになっていなかった。だが村上氏らは、二月一日の赤字転落と無配の発表を受けて、株価が三千円台から二千円台前・・・

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