三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

ウクライナと台湾の「同時危機」

習近平はプーチンの冒険に乗るか

2022年2月号特別リポート

 ウクライナを巡り、ロシアと米国および北大西洋条約機構(NATO)のにらみ合いが続く中、中国の習近平国家主席が、対台湾戦略を慎重に見極めている。
 ジョー・バイデン米大統領が、「民主主義諸国防衛」のため、どこまでやるのか、その意思に見合う資源を持ち合わせているのか、同盟諸国は協調できるのか―。日米欧の本気度を、これほど生々しく示すものはないからだ。
 八年前の二〇一四年には、ロシア・ソチでの冬季オリンピックの閉幕とほぼ同時に、ロシア軍によるクリミア半島併合作戦が始まった。北京冬季五輪(二月四~二十日)をはさんで、ロシアと中国はどう動くのか、米国はどう対応するのかを探る。

「二つの戦域」は米国の悪夢

 ロシアによる対ウクライナ圧力が強まる中、一月二十二日、米国の軍事支援の第一弾がキエフに到着した。すると、翌二十三日、中国軍の戦闘機など三十九機が台湾の防空識別圏に侵入した。核搭載可能な爆撃機「轟炸6(H6)」も一機加わっていた。台湾空軍機は緊急発進を迫られた。
 中国は昨年十月四日に・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます