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暴君の「狂気」に屈する米欧

ウクライナ「見殺し」のこの先

2022年3月号特別リポート

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナの分離派が作った二つの「人民共和国」を国家として承認し、ウクライナに軍事侵攻した。
 ジョー・バイデン米大統領は、ロシアの意図を徹底した情報公開で暴いて、侵攻を断念させようとしたものの、プーチン大統領は軍の配備増強と電撃的な開戦で、軍事力によるウクライナ政権打倒の道を選んだ。
 中国を含め国際社会が強く反対し、国際法上何の大義もない中での軍事侵攻は、ナチス・ドイツの第二次世界大戦開戦にも比較される、自分勝手な凶行である。
 ロシア抑止を最後まで躊躇した欧州連合(EU)諸国と米国は、日本と合わせて、民主主義勢力への強烈な逆風に対する、喫緊の行動を迫られている。

外交交渉で戦闘準備の時間稼ぎ

 それは八十三年も前に、ナチス・ドイツがとったのと同じ戦術だった。
 一九三九年八月三十一日深夜のポーランド・グダニスク(当時はダンツィヒ自由都市)。
 ベステルプラッテ基地に、ドイツ軍情報機関の工作員が忍び込み、警備のポー・・・