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経済

米住宅バブル「崩壊」の始まり

世界的「景気後退」は不可避に

2022年10月号

 急ピッチの米国政策金利引き上げによって前例のない住宅ローン金利の急騰が起きている。十年間続いてきた住宅市場の強気相場は現在「大天井」にあるのが明確だ。そして、米住宅バブルの崩壊が始まろうとしている。
「住宅不況入りの準備が整った可能性がある」住宅市場の専門家ロバート・シラー教授(イェール大学)は八月に警鐘を鳴らした。

住宅需要見通しが急激に悪化

 足元の住宅価格の動向を見ていこう。四半期毎に公表される連邦住宅金融庁(FHFA)の住宅価格指数では、二〇二〇年第1四半期の四五〇・二七から今年の第2四半期の六一七・八九まで上昇。前年同期比での上昇率は統計開始以来最大となった。
 全米不動産協会(NAR)が発表する「中古住宅価格中央値」では六月の四十一万三千八百ドルから七月に四十万三千八百ドルへと下落するなどピーク感が出ている。「ケース・シラー住宅価格指数(全国)」の前年同月比の変化率でみると、四月に記録した二〇・六四%が過去最大で、五月、六月はやや減速している。今後発表される七、八、九月のなか・・・

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