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経済

《クローズ・アップ》志太 勤(シダックス最高顧問)

TOB「大混乱」を招いた創業者

2022年10月号

 給食事業などを手掛けるシダックスが混乱の極みにある。オイシックス・ラ・大地がTOB(株式公開買い付け)でシダックス筆頭株主の投資ファンド、ユニゾン・キャピタルから保有株約二七%を買い取ろうとしたところ、当のシダックス取締役会がTOBに反対したからだ。ユニゾンも会社が反対するTOBには応じられないという構え。大混乱だ。
 発端は創業家にある。創業者の志太勤・取締役最高顧問とその息子の志太勤一会長兼社長の二人は六月、保有株をオイシックスに売却するようユニゾンに要請した。二〇一九年の経営危機の際、スポンサーとしてシダックス支援に入ったユニゾンと志太家は、両者間で「いずれ志太家が指定する先に株を売る」という契約を結んでいた。志太家はその実行を求めた。
 志太家とオイシックス創業者の髙島宏平社長の関係は深い。二〇〇〇年に髙島氏がオイシックスを立ち上げた際、ITバブル崩壊後で多くのベンチャーキャピタルに投資を断られるなか、シダックスの出資を得て船出に成功した。髙島氏にとって志太親子は恩人だ。
 髙島社長は今回、志太親子に頼まれ、恩返しのつもりでユニゾンの持つ株式の取・・・

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