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経済

《地方金融の研究》 佐賀共栄銀行

西九州新幹線開業が「不安要因」

2022年10月号

 銀行経営や、それを取り巻く地域経済にどのようなインパクトをもたらすのか―行内でも様々な見方が交錯しているらしい。ただ行員らが揃って口にするのは、県庁所在地であり、佐賀共栄銀行が本店を置く佐賀市の地盤沈下への懸念だという。
 九月二十三日、西九州新幹線が開業した。JR長崎駅(長崎県長崎市)と武雄温泉駅(佐賀県武雄市)六十九・六キロメートルを最短二十三分で結ぶ。途中駅は諫早(長崎県諫早市)、新大村(同大村市)、嬉野温泉(佐賀県嬉野市)の三駅。運行本数は一日四十七本で、過半が各駅停車だが、それでも所要時間は三十分程度で済む。
 嬉野市は長く鉄路から見放されてきた。観光地・嬉野温泉に行くには最寄りの長崎空港(大村市)から車で約四十分。それが新幹線開業後は約二十分と半分に短縮された。「(首都圏などからの)観光客誘致に向けた格好の訴求要因になる」として、地元財界などからは当然のことながら歓迎の声が上がる。
 だが今回の開業は武雄温泉駅から先の整備方式が定まらぬままのいわば見切り発車だ。同駅から佐賀市や博多(福岡県福岡市)方面に抜けるには在来線の特急などを乗り継ぐ必要・・・

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