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政治

「岸田降ろし」は当分ない

後継候補全滅で続く「低支持政権」

2022年10月号






 首相岸田文雄の命運が懸かった元首相安倍晋三の国葬が終わった。二〇二二年九月二十七日、会場となった東京・北の丸の日本武道館の中は「安倍礼賛」。一方、国会周辺をはじめ全国で「国葬反対」の声が響いた。安倍によって生まれた国論分断がそっくり現出された。国葬効果で政権浮揚を狙った岸田の思惑を無残に打ち砕いた。
 岸田が安倍の国葬を決めたのは安倍が凶弾に倒れた七月八日から六日後の七月十四日。ところが、その直後に安倍と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との長く深い関係が露見した。これ以降は国葬と旧統一教会という二つの問題が絡み合い、内閣支持率が加速度的に急落した。中でも毎日新聞の九月調査の結果は無残だった。支持率は前回調査から七ポイント下落して二九%。不支持率は六四%にまで増大した。国葬を決めた直後に自民党幹事長の茂木敏充は野党側の国葬批判にこう反論した。
「国民の声とはかなりズレている」
 この発言がそっくり茂木に返される状況が生まれた。約一年前、当時の首相菅義偉は毎日新聞の世論調査の直撃を受けて退陣に追い・・・

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