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政治

「岸田批判」菅義偉に再登板の内懐

《政界スキャン》

2023年2月号

 年明け早々、菅義偉前首相の岸田文雄首相批判が物議を呼んだ。狙いは「岸田降ろし」ののろしか、自らの再登板か、はたまた操り人形を担ぎ出すキングメーカーへの布石か。いずれにせよ、通常国会開会を前に、同じ党の前首相が現首相に対し、公然と反旗を掲げたのだから穏やかでない。
 おまけにしつこい。雑誌「文藝春秋」のインタビュー、ベトナム外遊先での記者取材、ラジオ出演で立て続けに矢を射かけた。集中的なタイミングといい、意図的なのは明白だが、満を持して放ったにしては、肝心な論点がどれも首をかしげさせる。
 まず、派閥政治批判。岸田氏は歴代首相が在任中派閥を離れた慣例に従っていない、派閥の意向を優先している、というのだ。岸田氏が世論より自民党内を気にしているのは事実でも、それと岸田派会長を辞めないことが、どうつながるのか。分かりにくい。
 安倍晋三元首相は、首相になる前に派閥会長だったことがない。それでも出身の清和会(当時は細田派)を圧倒的な党内最大派閥に膨張させ、首相退任後、会長になった。それが「脱派閥」か。
 岸田人事への批判も、「派閥を引きずっている。自分の・・・