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政治

安倍の負の遺産「北方領土交渉」

『回顧録』が明かす裏切りの密約

2023年3月号

 『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)が売れている。二月八日に発売されてから間もなく大手通販サイトAmazonで一時売り切れとなり、わずか一週間足らずで四刷五万部の重版が決まった。出版界では「一万部売れれば大ヒット」が常識の「政治家モノ」としては異例の売れ行きとなった。
 回顧録は、安倍が首相を辞任した直後から一年間、読売新聞特別編集委員の橋本五郎らが聞き手となり、三十六時間にわたって行われたインタビューをまとめたもの。安倍を窮地に追いやった森友学園問題について「私はひそかに疑っているのですが、森友学園の国有地売却問題は、私の足をすくうための財務省の策略の可能性がゼロではない」と語るなど、陰謀論が大好きな「安倍信者」にはたまらない「お言葉」がちりばめられている。
 さっそく生前から「安倍教」の伝道師だった面々が絶賛し、回顧録を聖書の如く扱っている。
「一国のトップとしての判断や行動の有り様を学べました」(経済安保担当大臣、高市早苗)、「安倍元首相回顧録を悔しがる財務省。ざまぁ見」(元内閣参事官、高橋洋一)、「歴史に残る本だ」(参院議員、青山繁晴)などなど。・・・

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