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連載

皇室の風 第175話

「勤王家トナレル所以」
岩井 克己

2023年3月号

 英タイムズ紙で約二十年間王室報道に携わったアラン・ハミルトン記者が来日したとき、日本の皇室について話を聞きたいと連絡してきたので会ったことがある。通訳が辞去した後も食事をしながら拙い英語で四苦八苦しながらも楽しく語らった。知的で穏やかな紳士だった。
 エリザベス女王の葬儀の現地報道を見ていて、彼が若くして既に死去していたと知り、往時の会話の記憶が蘇った。
「日本の宮内庁の職員は何人くらいいるの?」
「一千人くらいだよ」
「そんなにいるのか! バッキンガムなんて四百人かそこらだよ」
「しかし、そちらは近衛の儀仗兵や騎馬は何千人何百頭といるんじゃないの?」
「だって、あれは軍隊ワクだから」
 そうか、そういえば戦前の六千人から六分の一になったけど、なんで今もそんなに多いのかなとクビをひねって、はたと気づいた。
「全国四百六十カ所に古代の巨大な古墳から昭和天皇陵まで天皇・皇族の墓などが九百もあって、その墓守りは、非常勤や外部委託も含め数百人がかりなんだ」
「墓がそんなにあるのか!」

・・・

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