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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》青森「原発マネー」

知事選と電力会社の蠢動

2023年3月号

 電気料金の高騰で、朝日新聞の世論調査でも原子力発電所の再稼働を支持する声が東日本大震災後では初めて反対を上回る五一%に達する(二月二十一日付朝刊)など、国民意識の葛藤をよそに、原発関連施設を巡る利権争いが知事選を控えた青森県で繰り広げられている。
 利益本位の企業と、原発依存のエネルギー政策に固執する国がばらまく巨額の「原発マネー」で、地域が自立できない旧態依然の構図は温存されたままだ。
 問題が表面化した舞台は青森県むつ市。東京電力ホールディングス(HD)と日本原子力発電が建設中の使用済み核燃料の中間貯蔵施設だ。そこに、施設建設への「相乗り」を画策する関西電力が絡み、事態は複雑化した。
 関電が本州最北に乗り込むのは、七基の原発が立地する福井県と使用済み核燃料の県外搬出を約束しているからだ。搬出先の確定期限は二〇二三年末。「相乗り」ができれば、むつ市が優先地点となるが、同市の同意が要る。
 むつ市は関電の申し入れを拒否し続けてきた。背景には関電と青森県の不透明な関係や、潤沢な「原発マネー」が自治体の政策判断をゆがめる構図がある。今回も「相乗り・・・

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