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社会・文化

新聞界が絶望する紙価格「暴騰」

読売新聞が狙う業界再編「焦土作戦」

2023年3月号

 新聞業界を直撃している用紙代高騰への対応で、各紙の生き残り戦略が明確になってきた。ニュースの獲得経路が紙からオンラインに移り、読者の高齢化と人口減に伴う発行部数の減少、最近では新型コロナウイルスによる景気減速、円安とロシアのウクライナ侵攻に端を発した資材価格の高騰と、複合的要素が各紙の体力を奪う中、購読料の値上げや発行体制の縮小を巡り業界は二極化している。
 二〇二三年一月、業界紙の共同インタビューでの読売新聞グループ本社の山口寿一社長の発言が耳目を集めた。
「二三年を唯一の全国紙となるための足場固めの年にしたい」と抱負を述べた上で、「用紙代の値上げを受け入れたとしても読売は購読料の再改定を考えていない」と言い切ったからだ。
 業界最大手のトップが、資材価格の高騰分を販売店との取引価格にも転嫁せず、全て読売本体でかぶると明言した衝撃は大きかった。製紙会社は二二年後半から用紙代の値上げを要求し、四~五割増しの価格を示された新聞社もある。読売でも用紙代の値上げやエネルギー価格高騰などによる負担増は「年間百億円規模」(業界関係者)とされる。裏を返せば、この金額・・・