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政治

《罪深きはこの官僚》葛西 健 (前WHO西太平洋地域事務局長)

国益損ねた 人種差別&パワハラ男

2023年4月号

 三月八日に、世界保健機関(WHO)の西太平洋地域事務局(WPRO)のトップを解任された葛西健は、厚生労働省の医系技官出身者だ。地域事務局長の解任は、WHOの歴史上初である。
 官房長官の松野博一は「(葛西についての)調査や事実認定は公正公平に行われる必要があると主張してきた」と発言。国内には「来年のWPRO事務局長選を見据えた謀略」と見る向きもあるが、葛西の「罪状」は否定しようがない。
 アジアの一部でコロナが拡大したことについて葛西は「劣った文化、人種、社会経済的レベルによる能力の欠如」と発言。また、公の場で部下に暴言を吐き、恥辱を与えるなどの問題行動が、WHOの調査で確認されている。
 葛西のパワハラは最近になって始まった話ではなく関係者の間では以前から有名だった。二〇〇四年に宮崎県に福祉保健部次長として出向し、新型インフル対策の策定を取り仕切った時には、「厚労省の威光を傘にきて、傲慢な態度をとり、部下に膨大な仕事を押しつけ顰蹙を買った」(関係者)という。WPROへ出向後にも、「葛西の下に厚労省から派遣された若手官僚をいじめて、任期途中で何人も交代さ・・・

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